どのようなことをすると時効の利益の放棄になるか
1 消滅時効の利益の放棄となる行為
貸金業者等から借入れた金銭を返済しないまま長い月日が流れ、消滅時効が完成していたとしても、ただちに借金を返済する債務がなくなるわけではありません。
消滅時効の援用をすれば債務が消滅しますが、逆に消滅時効の援用をせずに返済をするということもできます。
消滅時効によって得られる利益を放棄し、返済をする意思を表す行為として、次のものが挙げられます。
①借金などの債務が存在することを認めること(承認)
②返済の約束をすること
③一部の返済をすること
以下、それぞれについて詳しく説明するとともに、時効の利益の放棄は時効完成前に行うことはできない点についても説明します。
2 借金などの債務が存在することを認めること(承認)
債務者側が債権者に対して、債務が存在していることを認識していることを表明することです。
実務においては、債務承認をした旨を記した書面を作成し、債権者に差入れます。
3 返済の約束をすること
債務者側が、消滅時効が完成していることを認識したうえで、債権者に対して消滅時効の援用をせず返済をしていく意思がある旨を伝えることです。
後日争いになることを防止するため、承認と同じく、返済の約束をした旨の書面を作成するのが一般的です。
4 一部の返済をすること
消滅時効が完成した後であっても、債権者に対し債務の返済として少額の支払いをすることも、時効の利益の放棄とされます。
5 時効の利益の放棄は時効完成前に行うことはできない
民法第146条により、時効の利益の放棄は、消滅時効が完成した後でないと行うことができないとされています。
債権者が金銭等を貸し付ける際に、予め時効の利益を放棄させることを抑止することが理由です(時効の利益を放棄しないとお金を借りられない、という状況にならないようにするため)。
あまりないとは考えられますが、金銭の借入れの際の契約書に時効の利益を放棄する旨の条項があったとしても、無効になります。

























